2020年の東京オリンピックまであと2年。
オリンピック誘致から政府を中心に訪日外国人を増やすための取り組みが功を奏し、2017年の訪日外国人数は2,800万人を超えました。
2013年には和食がユネスコの無形文化遺産に登録されるなど観光や食事を目的に訪日する外国人は年々増えています。
しかしながら、理美容業界では訪日外国人の取り込みに苦戦しているのが実情です。
今後もまだまだ増え続けていくであろう訪日外国人に日本の「COOL & カワイイ」文化を広め、来店してもうらにはどうしたらいいのか、訪日外国人の現状とともに紐解いていきましょう。
目次
訪日外国人はどれくらい増えているの?
2017年は前年度に比べ19.3%のアップ、総数は2,800万人を超え、外国人訪問者数で日本は世界で16位、アジアでは6位になりました。
※外国人訪問者数の順位は法務省出入国管理統計の分類に基づいたもの
1月 ~ 12月 |
1月 ~ 12月 |
||
出典:日本政府観光局(JNTO)
居住地別に見ると韓国が前年度に比べ + 40.3%と伸び率では一番高く、人数的にも中国と並びつつあります。
政府の働きかけもありインドネシアやベトナム・ロシアは伸び率が30%を超えています。
訪日外国人の中で観光・レジャーを目的としている人の割合はどれくらい?
2016年の調査によると「観光・レジャー」を目的に訪日した人は全体の87.6%を占めました。
出典:日本政府観光局(JNTO)
1位 大阪府 42.1%
2位 東京都 39.7%
3位 千葉県 31.7%
4位 京都府 29.2%
訪日外国人は旅行前の情報をどこから得ているの?
訪日前の情報源としていちばん多いのは個人のブログで31.2%、次いでSNSが21.4%でした。
日本に来たことがある人、経験したことがある人、買ったことがある人の意見を参考にする傾向が強いようです。
出典:観光庁訪日外国人消費動向調査
訪日外国人が訪日前にいちばん楽しみにしていることって何?
訪日していちばん楽しみなのは「日本食を食べること。」
世界各国で和食がブームになっていますが本場の日本食を食べたいという人が多いようです。
ちなみに日本で食べた食事で満足したのは肉料理とラーメンが上位でした。
出典:観光庁訪日外国人消費動向調査
モノ消費からコト消費へとニーズは変化しています。
外国人観光客を乗せた観光バスがズラッと並び街中をショッピングバッグを提げた人たちがズラズラ歩く。
数年前にはよく見られた光景ですが一時の爆買いブームも去りました。
日本はモノも品質で良いけれど人が提供するサービスも良い。
そう実感している訪日外国人も多いです。
ショッピングでやみくもにモノを購入するのではなく、日本の技術やカルチャーを体験する「コト消費」へとブームは移りつつあります。
理美容業界にとってはまさに今が訪日外国人を顧客にするチャンスと言えるでしょう。
ここからは訪日外国人来訪第1位の大阪と第2位の東京で観光およびレジャーを目的に訪日した外国人100名に「日本の理美容についてのホンネ」を聞いてみました。
日本に来て理美容のサービスを受けた、または受ける予定がありますか?
(ないと回答した人のみ)日本で理美容のサービスを受けないのはなぜですか?
出典:株式会社武田
回答として多かったのは「情報がないので考えてもいなかった」「情報不足でどこにどう行けばいいのかわかない」という情報についての回答でした。
また英語を主とした「日本人は英語が話せないでしょ」「英語が通じず食事をするにも困るのに技術的なことなど到底無理」といった日本人の英語能力の低さも外国人がサービスを受けるにあたっては問題のようです。
今後訪日した際に日本で理美容のサービスを受けてみようと思いますか?
情報が無く検討ができないので「どちらとも言えない」と回答した人が約半数でした。
しかし日本の技術力は回答してくださったほとんどの方が信頼しており、条件が合えば是非受けてみたいという人も。
日本に来たことがある人、経験したことがある人、買ったことがある人の意見を参考にする傾向が強いようです。
受けたいと思う理由(抜粋)
- デザインなどカワイイものは多いと感じたから自分が気に入ったものがあれば受けてみたい(中国 女性 30代)
- 日本は接客も丁寧で親切だから(アメリカ 男性 30代)
- ガイドブックやインターネットなど情報が整い事前に確認できるのであれば受けてみたい(インドネシア 女性 30代)
- 価格が安ければ受けてみたい(韓国 女性 20代)
受けたくないと思う理由(抜粋)
- 技術的に不安(韓国 女性 30代)
- 日本人は英語が使える人が少ない。言語が伝わらないのは不安(イギリス 女性 50代)
- サービス料金が高い(中国 女性 40代)
- 食事でメニューを見て何をどう頼めばいいのかわからないのに、理美容サービスはより難しいと思う(フランス 女性 30代)
どちらとも言えないと回答した理由(抜粋)
- 日本でのサービスを経験した友人知人がいないのでなんとも言えない(中国 女性 40代)
- 日本の技術力がわからないので(韓国 男性 30代)
- 飲食や観光に比べ情報が少なすぎてどちらとも答えられない(アメリカ 男性 30代)
どうすれば訪日外国人を顧客として取り込むことができるのか
課題1.日本の理美容に関する情報を得る手段が少ない
2003年に始まった観光庁の訪日旅行促進事業(訪日プロモーション)により政府や民間企業が協力してインターネットやガイドブックで日本を訪れる外国人は容易に情報を得ることが出来るようになりました。
しかし残念ながら訪日外国人に理美容の情報を伝える手段は少ないのが現状です。
訪日外国人は個人ブログやSNSで事前に情報を得る人が多数。
また7割近い人が訪日時にはスマートフォンでインターネットやアプリを利用し情報収集したと答えています。
店舗のブログやSNSを活用してみましょう。
ひと言で構わないので英語でコメントを入れておくのもいいかもしれません。
その際には訪日外国人が検索しそうなハッシュタグをつけておくと検索されやすいでしょう。
課題2.日本人は全体的に英語をはじめとした外国語を話せる人が少ない
飲食店でも英語が通じるスタッフがいなくて苦労したのに言葉も通じない人に自分の体を触られるなんて、と回答した方もいましたが、実際に日本に来て困ったことに「Wi – Fiがつながらない」「交通手段が高くわかりにくい」と並んで「言葉が通じない」という言語の問題が上位に挙げられます。
しかし英語のできるスタッフを雇用するのは容易なことではありません。
商品であれば多言語で商品説明を書いて表示するということも可能ですが、微妙なニュアンスが必要な理美容サービスではなかなかそうもいきません。
課題1のように「情報がないからわからない」と回答した外国人観光客の方に情報として日本のサロンの施術を画像や動画で見せたところ技術そのものに大変興味を持ってくれました。
ぜひ画像や動画をアップし細かいニュアンスを伝える工夫をしてみましょう。
また外国人観光客向けのオリジナルメニューを作り伝えやすく工夫することもできるでしょう。
ただし訪日外国人を顧客にするには店舗で使える簡単な英会話をマスターするのも顧客満足には必要なことかもしれません。
おすすめサロン向け雑誌
すぐに使える! ヘアサロンの英会話
これだけ覚えればOK!
美容師のための英会話フレーズ70
インバウンド需要をとらえ、外国人のお客さまにも対応できるサロンに!
サロンの現場で役立ち、通じやすい英語フレーズ70を厳選。
サロンにあると“いざ”というとき活用できる英会話本です。
【CONTENTS】
第0章:丸暗記で使える マジックフレーズ20
第1章:来店~カルテ記入
第2章:カウンセリング(導入 / カット / ヘアカラー / パーマ / トリートメント・ヘッドスパ / クロージング)
第3章:施術(シャンプー / カット / ヘアカラー / パーマ / トリートメント)
第4章:仕上げ ~ 次回提案
第5章:会計 ~ 見送り
第6章:電話対応
※マジックフレーズ・基本フレーズの「音声データ付」
美容師のためのサロン英会話
外国人のお客様が突然いらしても、この一冊があれば、すぐに対応できます!
ご案内からシャンプーまでの流れといったシチュエーション別や、毛髪に関する英単語などジャンル別など、さまざまな切り口で英語表現や英単語を網羅!
この1冊があれば、外国人のお客様にも慌てない!
ネイリストのためのサロン中国語会話
指さし会話でも使える!
突然、中国語しから話せないお客様が来店されても、この1冊があれば「おもてなし」が可能です。
シャンプー、カット、カラー、パーマ・・・と施術別に項目が分かれています。
発音ができなくても大丈夫!
お客様とは「指さし」という方法で会話ができるように構成されています。
インバウンドが期待されている今だからこそ、ぜひサロンに1冊!