サンプル使用時や導入後の迷われた時に、参考にしてください。
目次
2019年9月17日(火)にフルリニューアルする、ホーユー プロマスターとは?
テクニカルプロセス
- カウンセリング
お客様のイメージする仕上がりにするため、髪質、毛髪状態、頭皮状態などを診断します。 - 使用色の選定
カウンセリングの結果に基づき、使用色を選定します。 - テクニックの決定
髪の状態と使用薬剤、求める仕上がりの色を考え、テクニックを決定します。
お客様へ施術にかかる時間と料金の目安等を説明します。 - セクショニング
早く正確な塗布のために、髪を4つのセクションに分けます。 - 薬剤ミックス
1剤:2剤 = 1:1(1剤 + 2剤のミックス比)
1剤:2剤 = 1:2(1剤(12レベル以上) + 2剤のミックス比)
総量(1剤 + 2剤):ショート 80g / ミディアム 120g / ロング 160g - 薬剤塗布 & 放置
セクションごとに塗布し、20分 ~ 30分自然放置します。 - カラーチェック
トップやネープ等、数ヶ所から毛束を取り出し、薬剤をコットン等でふき取り、チェックします。 - シャンプー & トリートメント
しっかり乳化した後、シャンプーを行い、コンディションと色持ちを良くするためにトリートメントを塗布します。 - 仕上げ
ご希望のスタイルにスタイリングし、仕上げます。
毛髪診断のポイント
お客様のご要望にお応えするヘアカラーにするためには、正確な毛髪診断が欠かせません。
髪質やコンディションはお客様それぞれで異なり、毛髪診断の結果によって薬剤の選定やテクニックが異なります。
ここでは、毛髪を新生部と既染部に分け、それぞれの診断に必要なポイントを紹介します。
新生部
この画像は、黒髪をブリーチした明るさと色みを20段階で表現したアンダーレベルスケールです。
同じ黒髪でも明るくしたときに出てくる色味は人によって差があるので、下記の傾向に注意して薬剤を選びましょう。
■ 軟毛 ■ 細い髪 ■ 吸水性毛 ■ 乾燥毛 ■ 地毛が明るい(5レベル以上) |
気味がでやすい 明るくなりやすい |
■ 標準毛(4レベル程度) | カラーチャートに近い仕上がり |
■ 硬毛 ■ 太い髪 ■ 撥水性毛 ■ 油性毛 ■ 地毛が暗い(3レベル以下) |
赤味が出やすい 明るくなりにくい |
既染部
既染部の毛髪診断では、アンダーレベル以外に施術履歴やダメージレベルの確認も大切です。
既染部全体の状況をよく確認した後、使用する薬剤やテクニックを決定します。
そこで、お客様にいつ、どんな種類のヘアカラーで何色にしたかを聞きましょう。
また、アイロンや、縮毛矯正毛も染まり方に大きな影響を与えるので、正確に履歴を確認します。
毛髪内部のタンパク質がかたくなるため、染まりにくくなったりブリーチ効果が出にくくなったりします。
特に18レベル以上の毛髪は、ダメージが進み過ぎているため、染まり方がムラになる場合があり、注意が必要です。
ダメージレベルを確認した上で、薬剤を選びましょう。
アンダーレベルとダメージレベル
毛髪のダメージを段階的に表した数値です。
施術履歴により、必ずしもアンダーレベルと連動するわけではありません。
酸化染毛剤の概論
酸化染毛剤の主な配合成分
1剤と2剤の混合液のpHにより、アルカリ性酸化染毛剤 ~ 酸性酸化染毛剤に分類されます。
a.染料(1剤)の種類
染料には2剤の酸化剤の作用により、大きな分子に重合し発色する染料(酸化染料)と、酸化剤による作用を受けない染料(直接染料)があります。
よって、いろいろな組み合わせをふまえながら酸化染毛剤は処方されている。
b.アルカリ剤(1剤)の効果
アルカリ剤には、アンモニア水やモノエタノールアミンが使用されています。
アルカリ剤は、毛髪を膨潤させ、染料や酸化剤を浸透しやすくする効果があります。
不揮発性のモノエラノールアミン等を使用した臭いが少ないものもありますが、アンモニア水に比べて明度が出にくくなります。
c.酸化剤(2剤)の効果
酸化剤には、主に過酸化水素が使用されています。
過酸化水素は、アルカリにより水と酸素に分解され、酸素の発生時にメラニン色素を酸化分解し、染料を酸化重合させ発色します。
日本国内の濃度の上限は薬機法により6%です。
(2剤のpHは酸性です。)
d.基剤(1剤・2剤)の種類
基剤は、薬剤から有効成分(染料、アルカリ、酸化剤)を除いた部分です。
使用する成分の種類や配合量により、薬剤の性状や操作性を調整できます。
油成分 | 性状や粘度の調節だけでなくコンディショニング効果もあり、毛髪に与える感触にも影響する。 ● 例:セタノール、ステアリルアルコール、パラフィン、白色ワセリン、エチルヘキサン酸セチル等 |
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乳化剤 (界面活性剤) |
主に性状や粘度を調節し、乳化剤の種類により、非イオン、アニオン、カチオン、両性に分けられる。 ● 例:ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル流酸塩、塩化アルキルトリメチルアンモニウム |
コンディショニング剤 | 毛髪にさまざまな感触(ハリ、コシ、やわらかさなど)を与える。 ● 例:シリコーン油、カチオン化ポリマー、両性ポリマー、タンパク加水分解物(= ポリペプチド:PPT)等。 |
安定化剤 | 1剤中の酸化染料の酸化を防ぐ。 2剤中の過酸化水素等が劣化したり、消失したりしないように用いられる。 ● 例:アスコルビン酸(酸化防止剤)、エデト酸塩(金属封鎖剤)、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸塩(金属封鎖剤)等。 |
溶剤 | 他の成分(染料など)を溶解するために配合する。 ● 例:水、エタノール、プロピレングリコール、1,3 – ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等。 |
香料 | 不快臭をマスキングしたり、心地よい香りを賦香する。 |
脱色作用と染色作用
染毛効果は、メラニンの脱色作用と酸化染料による染色作用により決定します。
例えば、N – 8の仕上がりでは、染毛前4レベルから脱色作用により10レベル相当まで明るくなり、染色作用により8レベルになります。
明るい色番号は、脱色作用が高く染色作用が弱く、暗い色番は脱色作用が低く染色作用が強くなります。
酸化染毛剤の選定基準
プロオキサイド 6% |
プロオキサイド 2% |
2剤の濃度は、脱色作用や染色作用に影響するため、目的や髪のコンディションに合わせて使用します。 既染部に使用する1剤の染料濃度が6トーン以下の場合は、6%の使用を推奨します。 |
カラーコントロール
ヘアカラーは、希望色のみで求める仕上がりが得られない場合があります。
なぜなら、毛髪にはもともとの色(アンダートーン)が存在するからです。
お客様の希望の仕上がりを実現するためには、毛髪のアンダートーンを確認し、希望に対し何が必要なのかを見極め、適正な薬剤のミックスを行うことが必要不可欠です。
アンダートーンによる各色調の変化
隣接色の使用方法
色相環で隣り合った色同士をミックスすると、中間の色を作ることができ、単品では出せない色が表現できます。
ミックス色同士の組み合わせや比率により、オリジナルの色を創造することが可能です。
独自の発想で、お客様へのご提案の幅やヘアカラーデザインの可能性が広げられます。
補色の使用方法
色相環で向かい合った色同士をミックスすると、お互いの色味を打ち消します。
実際のヘアカラーリングでは、さまざまな場面で補色関係を意識する必要があり、活用することで求める色味が表現できます。
彩度調節
彩度を上げる場合
各色調の彩度を上げる場合は、アクセントカラーをミックスします。
同じ色調のアクセントカラーを10 ~ 30%程度のミックスが目安です。
アクセントカラーの活用方法
希望色を強調し、彩度を上げるためにはアクセントカラーが有効です。
ミックスの割合を高くすると、アクセントカラーの色調に傾き、彩度がより高くなります。
20 ~ 30%程度 |
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暗い薬剤なので10%程度 |
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彩度を下げる場合
各色調の彩度を下げる場合は、N(ナチュラル)かMT(モノトーン)をミックスします。
どちらを使用するかは、表現した色のニュアンスにより決まります。
N(ナチュラル)やMT(モノトーン)をミックスする割合により、彩度をコントロールすることができます。
エフェクトカラーの活用方法
希望色の色調を変化させ、絶妙なニュアンスを表現するにはエフェクトカラーが最適です。
例えば、落ち着いた雰囲気を与えたい場合は、エフェクトネイビーを。
柔らかさが欲しい場合には、エフェクトベージュを。
このように最終的な仕上がりのイメージで希望色にミックスするエフェクトカラーが決まります。
10 ~ 50%程度 |
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印象を変えやすい薬剤なので 5 ~ 10%程度 |
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ケースワーク
トーンダウンテクニック
- 新生部にA – 9 / 8を塗布。 ※2剤 6%等倍
- 時間を空けず既染部にA – 9pを塗布。 ※2剤 2%等倍
- 自然放置20分 ~ 25分。
- 全体の色調が揃ったらシャンプー。
- 新生部にA – 9 / 8を塗布。 ※2剤 6%等倍
- 時間を空けず既染部にA – 9p + N – 6p(1:1)を塗布。
- 自然放置20分 ~ 25分。
- 全体の色調が揃ったらシャンプー。
- 新生部にR – 9 / 8を塗布。 ※2剤 6%等倍
- 時間を空けず既染部にR – 9p + N – 6p(1:2)を塗布。
- 自然放置20分 ~ 25分。
- 全体の色調が揃ったらシャンプー。
そのような場合は、明度調整色(N:ナチュラル)を多めに設定し、彩度を下げてトーンダウンすることをお勧めします。
ナチュラル系でのトーンダウンの目安
既染部は明度が高くなるにつれ、赤味、オレンジ味、黄味の順に失われていきます。
そのため、新生部の色調に合わせたトーンダウンをする場合には、単純に希望色を選定するだけでなく、トーンダウンさせる幅に応じて不足する色味を補い、使用する染料濃度を考慮しなければなりません。
- 下の表は、トーンダウンする場合の染料濃度の目安です。
- 下の表は、一定の髪の条件下での目安です。髪質、希望色調、ダメージにより、多少の誤差が生じる場合があります。
- 暖色系は彩度が高く見えることを考慮して、明度調整色(N:ナチュラル)の比率を多くしてください。
例) 8.5トーンの作り方 ・・・ N – 9p:N – 8p(1:1)
7.5トーンの作り方 ・・・ N – 8p:N – 7p(1:1)
既染部のカラーチェンジとトーンアップテクニック
- 新生部にA – 8 / 7を塗布。 ※2剤 6%等倍
- 既染部にA – 8p + CB – 5p(10:1)を塗布。 ※2剤 2%等倍
- 自然放置20分 ~ 25分。
- 全体の色調が揃ったらシャンプー。
もともと赤味が強い髪質のお客様には、新生部にもアクセントカラーをミックスする場合があります。
どの薬剤を使用するかは、さまざまなケースが考えられるため、ストランドテストを行い判断します。
ヘアカラーで暗く染まった髪を明るくするためには、脱染効果のある薬剤を使用する必要があります。
しかし、毛髪にはまだ分解できるメラニン色素が残っている場合には、脱色剤(LT / SH)または12レベル相当の薬剤で明るくできる場合があります。
- 手順例) A – 10 / 12を使用したい場合
- ネープ付近や耳の上等の目立たない部分に、数ヶ所毛束(ストランド)を取りA – 10 / 12を塗布。
- ①の毛束(ストランド)をラップかホイルで包み、10 ~ 15分放置し髪の色を確認。
- 明るくなっていれば、A – 10 / 12を使うことができる。
ストランドテストにより、既染部にまだ分解できるメラニン色素の残留を確認できる場合
- 既染部にM – 10 / 12 + EG – 6(10:1)を塗布。 ※2剤 6%2倍
- 自然放置(既染部が希望色調近くになるまで)。
- 希望色調近くになったら新生部にN – 9 / 8を塗布。 ※2剤 6%等倍
- 自然放置20分 ~ 25分。
- 全体の色調が揃ったらシャンプー。
染毛効果により、同時に明度が下がるということも考慮し、希望明度より少し明るくなる薬剤選定を考えます。
ストランドテストにより、既染部にまだ分解できるメラニン色素の残留を確認できる場合
- 既染部にLT / SHを塗布。 ※2剤 6%2倍
- 自然放置(既染部が希望明度近くに明るくなるまで)。
- 希望明度近くになったら新生部にA – 10 / 9を塗布。 ※2剤 6%等倍
- 自然放置20分 ~ 25分。
- 全体の色調が揃ったらシャンプー。
残留している染料は分解されずに毛髪に残るため、新たに薬剤を塗布しなくても希望色調を達成できる可能性があります(色調が弱い場合はオンカラーしてください)。
ストランドテストにより、既染部にまだ分解できるメラニン色素の残留を確認できない場合
- 既染部にLT / SH + アウダーブリーチ(5:1)を塗布。 ※2剤 4%2倍
- 自然放置(このケースでは約12レベル程度を狙ってトーンアップ)。
- 希望明度近くになったら新生部にLT / SH(2剤 6%2倍)を塗布。
- 自然放置(既染部との明度がつながりよくなるまで)。
- 既染部との明度が揃ったらシャンプー & ドライ。
- 全体にM – 9p + N – 7p(1:1)を塗布。 ※2剤 2%等倍
- 自然放置20分 ~ 25分。
- 全体の色調が揃ったらシャンプー。
時間は掛かりますが、ますは染料を分解し明るくベースを整えてから希望色で染毛することをお勧めします。
グレイカラーテクニック
- 新生部にA – 7 / 6 + N – 6 / 5(1:1)を塗布。 ※2剤 6%等倍
- 自然放置10 ~ 15分。
- 既染部に①の残液を塗布。(またはA – 7p + N – 6p(1:1)) ※2剤 2%等倍
- 自然放置10分 ~ 15分。
- 全体の色調が揃ったらシャンプー。
既染部を染毛する場合には、暗くなり過ぎないように時間調節、またはCL(クリア)等で染料を薄めることを検討しましょう。
- 新生部にA – 10 / 12 + N – 4 / 3(5:1)を塗布。 ※2剤 6%2倍
- 既染部にA – 9p + N – 6p(1:1)を塗布。 ※2剤 2%等倍
- 自然放置10分 ~ 15分。
- 全体の色調が揃ったらシャンプー。
- 白髪の多い生え際部分に、N – 6 / 5 + 水(水は少量)を塗布。
- 自然放置10分。
- 新生部にC – 7 / 7 + N – 7 / 6(1:2)を塗布。 ※2剤 6%等倍
- 既染部にC – 7p + N – 7p(1:2)を塗布。 ※2剤 2%等倍
- 自然放置10分 ~ 15分。
- 全体の色調が揃ったらシャンプー。
顔回りや一部分に白髪が集中している場合は、薬剤選定をそれぞれ設定するか、①のように白髪の多い部分に染料を事前に毛髪内部に浸透させ、上から希望色だけを塗布して染める方法があります。
①で浸透した薬剤を上から塗布した薬剤の2剤の作用で発色させるpre – pigmentation(事前の色素補充)というテクニックです。
応用編
- 新生部にA – 10 – 9と塗布。 ※2剤 6%等倍
- 時間を空けず既染部にA – 9p + N – 6p + C – 7p(1:1:0.1)を塗布。 ※2剤 2%等倍
- 自然放置20分 ~ 25分。
- 全体の色調が揃ったらシャンプー。
これは、メラニン色素の赤味が抜けた黄味の強い状態に、青味が混ざってしまうことで起こる現象です。
新生部と既染部の色調を合わせるためには、既染部に失われた赤味を補うことで解決できます。
ただしあくまでも色調調整のためのミックスです。
よって、1剤に対して5 ~ 10%のミックスを目安としてください。
- 既染部にN – 7p + C – 8p(5:1)を塗布。 ※2剤 2%等倍
- 自然放置(このケースでは約12レベル程度の色調が目標)。
- 希望色調になったらプレーンリンス & ドライ。
- 新生部にA – 10 / 9を塗布。※2剤 2%等倍
- 既染部にA – 9p + N – 7p(1:1)を塗布。 ※2剤 2%等倍
- 自然放置10分 ~ 15分。
- 全体の色調が揃ったらシャンプー。
安全にトーンダウンするためには、プロセスを2つに分け、目的明度を達成しやすいベースを作ってからトーンダウンすることをお勧めします。
①の施術はpriming(下塗り)というテクニックです。